No.031  宇宙の創造・維持に不可欠な“4つの力”

今回も、我々の理解を遥かに超える宇宙の神秘に想いを巡らせる「宇宙瞑想」をやっていきましょう。

前回は「宇宙の始まり:ビッグバン」、「創成期の宇宙の状態」、「いかにして“物質宇宙”が誕生したか」について科学的側面を主体に解説しました(*1)。しかし、ただ物質がそこにあるだけでは何も起こりません物質間の“相互作用”という力が働くことで世界が機能していきます。

いわゆる“物理法則”、“自然界の法則”と呼ばれるルールで、どのようなものがあるかというと図1に示すように「プラスとマイナスが引き合う、マイナス同士が反発し合う」「原子核や軌道電子が形成される」「惑星同士が引力で引き合う」「磁界や電界が発生する」といった様々な力が存在しています。
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我々は小学校の理科の授業の時から当たり前のように「プラスとマイナスはくっつく」「地球には重力がある」と習ってきましたが、これらは生来その性質を持っているわけではなく、“何かによってこのような力を付与されている/何かが力を発生させている”と言い換えることができます。

・標準理論(標準モデル)
標準理論とは、この世界の物質や相互作用のほぼ全てを素粒子として体系化したものです(図2,*2)。例えば、この表の左側にある“アップクォーク”と“ダウンクォーク”の組み合わせで陽子や中性子を作ることが可能です。そしてその下に電子があるので、この3つの素粒子だけで地球上に存在するあらゆる原子を生成することが可能です。今回は物質を形成する素粒子ではなく、右の破線で囲まれた“相互作用/力の伝達を司る素粒子に焦点を当てて解説していきます。

力の素粒子が力を発生させる方法としては、“これらの力を媒介する素粒子が力の作用する物質間で交換されることにより力が発生する”、または“力の素粒子のエネルギーに満ちた「場」に物質が入ることによってその物質に力が発生する”というように考えられています。
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・4つの力(1):電磁気力
まず最初に誰でも聞いたことがあり、日常でも触れる機会の多いのがこの電磁気力です(図3, *3)。図にはイメージ画像を掲載していますが、形而上学的には「力を司る存在達」「宇宙の法則を維持する存在達」がいることになっているのでそう思って見てください。記号や文字の羅列が苦手な“理系アレルギー”の人にはこういう存在達の方が頭に入りやすいと思います。
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電磁気力とは電気が関与するあらゆる物がこの力によって動作しています。照明や電化製品など私たちの生活では切り離せない存在となっています。電磁気力を媒介する素粒子は“光子(photon)”です。光子とは我々が見ている“光”そのものです。正確にいうと、光子=電磁波であり、電波やラジオ波/赤外線/可視光線/紫外線/X線など全てが電磁波の一種で、我々が目に見える“光”と呼んでいるものはそのごく一部分に過ぎません。

ただし、もっと基本的な働きとしては「分子同士がすり抜けずに反発する(図3A)」、「物質が光と相互作用し反射する(図3B)」、「原子同士が電子を介して結合する(図3C)」という法則にも寄与しています。つまり、「我々が物に触れられる」「光を通じて物を見ることができる」「我々の体を構成する原子同士が結合している」のはこの“電磁気力”の相互作用があるからと言えます。


・4つの力(2):強い核力
この“強い核力”(*4)というのはあまり聞くことはなく日頃意識することは無いですが、非常に重要な役割を担っています。その主な役割は“素粒子(クォーク)同士を結合させ、陽子や中性子を形成する”というもので、媒介する素粒子は“グルーオン”と呼ばれます。陽子や中性子の内部で働く力なのでその範囲は10^-15m(1フェムトメートル)という極めて小さな範囲で作用します(図4)。また、原子核で陽子や中性子を結合させているのもこの“強い相互作用”が担っています。

この力の特徴としてはその名の通り“非常に強力”という点が挙げられます。具体的には10^-15mという極小距離において他の力と比較すると、電磁気力”の約137倍、後述する“弱い核力”の約100万倍、“重力”の約10の38乗倍という驚異的な強さを持っています。このために電気的には反発する陽子同士の電磁気力を抑え込んで原子核を形成しています。

その代わりその有効範囲は非常に小さく、原子核の大きさを超える範囲では急に弱まり無視できる程度になります。これにより、原子核をまとめつつ周囲の軌道電子には影響しないという絶妙なバランスを保っています。
このように、“強い核力”は見えないところで原子の存在自体を維持している“縁の下の力持ち”的な存在です。
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・4つの力(3):弱い核力
次に説明するのは“弱い核力(弱い相互作用*5)”ですが、これも4つの力の中ではあまり一般には知られてないと思われます。媒介する素粒子はW/Zボソンと呼ばれ、上にある通り、その強さは原子核を結びつける“強い核力”に比べると約1/100万と小さく、有効範囲も10^-16〜10^-17mと“強い核力”よりもさらに狭い範囲に限られています。

しかし、この“弱い核力”には変わった能力があります。この力は“素粒子(クォーク)を別のものに変える”という特殊能力があります。具体的には図5右上にあるように、中性子(アップクォーク×1+ダウンクォーク×2)のダウンクォークをアップクォークに変化させ陽子(アップ×2+ダウン×1)に変えることができます。この時、同時に電子1個とニュートリノ1個を放出して電気的にプラスマイナス0になります(図5右中)。
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中性子が陽子に変わると何が起こるかというと、「原子の基本的な性質は原子番号(陽子の数)によって決まる」という法則から、「原子番号が変わって別の性質の原子になる」ということが起こります。具体例では、アルゴン(Ar)は常温では安定した気体ですが、ベータ崩壊という弱い核力の作用によって金属のカリウム(K)原子へと変化します。

他にも“パリティ対称性の破れ”など特有の性質を持つことが知られていますが、他の力のように基本的に“引き合う/反発し合う”という力学的性質ではなく、“物質を変化させる”という点で非常にユニークな存在であると言えます。


・4つの力(4):重力
4つ目は誰もがよく知っている“重力”(*6)です。物質には質量があり、質量を持つもの同士の間には必ず重力が発生します。しかし、分子レベルにおいては重力はほぼ無視しても良いくらいに微々たる力です。上に挙げた“強い核力”と比較すると、その10^38乗分の1しかなく、強さだけで見ると最弱かもしれません。

しかし、その影響範囲は無限に広く、宇宙空間全てに到達するほどと言えます。“強い核力”/“弱い核力”は原子サイズを超えると殆ど影響力は無くなり、“電磁気力”も地球規模となると重力より力は弱くなります。太陽系の惑星の運動を見ると分かりますが、この規模になると全ての惑星はほぼ太陽の重力と惑星自身の重力によって公転運動が決定されていることが分かります。さらに太陽系どころではなく、直径何十万光年もある銀河の動きも重力によって支配されており、銀河同士が互いの重力によって衝突/融合する様子がハッブル望遠鏡で観察されています(*7)。
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重力を媒介する素粒子はヒッグス粒子(*8. 追記:未発見の重力子グラビトンはここでは割愛)ですが、ヒッグス粒子が粒子として存在しているというよりも“ヒッグス場”という“電場”や“磁場”のような領域を形成しています。簡略的に説明すると、そのヒッグス場の中にある物質は質量が付与され、重力が発生するという仕組みです(正確には“真空期待値”による“自発対称性の破れ”が質量付与に関与していますが詳細知りたい人はリンクを参照してください*9)。

このヒッグス場は宇宙誕生とともに全宇宙に行き渡っていると考えられています。なので現時点では“重力の存在しない領域”は宇宙空間で発見されてません。もしヒッグス場が無かったとしたら、地球は質量がゼロになるため、パチンコ玉とぶつかっても弾かれてどこかに飛んで行きます。そもそも物質に引力が働かないと星が誕生することができません。そういう点でも重力は宇宙の形成に不可欠な力と言えます。


・4つの力の特徴まとめ
これまで挙げた4つの力の特徴をまとめると図7のようになります。
・“電磁気力”は原子同士の結合に関与している普遍的な力。
 電磁相互作用によって我々は“物に触れる”ことができ、“電磁波によって物を見る”ことができる。
・“強い核力”は陽子や中性子を形成している強力な力。
 原子核が強固に結合しているのもこの力に支えられている。
・“弱い核力”は物質を変化/変容させる唯一の力。
 また他の力と異なり“パリティ対称性の破れ(*10)”の性質を持ち前の記事で述べた“物質と反物質から僅かに物質が残った”という物質宇宙の誕生の鍵を握っている。
・“重力”はミクロではゼロに近いが、無限遠方まで届く。
 宇宙では銀河同士を引き寄せ合うほど、またブラックホールという物理法則すら崩壊するほどの強大な力を発生させる。
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このように、宇宙の創造にあたって創造主はクォークや電子やニュートリノや反物質などを創り出しましたが、それだけでは現在の宇宙の姿にはなりません。ほぼ同数の物質と反物質から物質だけが残るには“弱い核力”の非対称性が作用していたと考えられ、出来たクォークから陽子や中性子を形成するのに“強い核力”が働き、電子が捕捉されて水素やヘリウムといった原子ができるのに“電磁気力”が作用し、このような物質のガスが引力によって凝集して星が誕生するのに“重力”が寄与しています。
このような“物質”と“力”、これらが揃って初めて宇宙が形成され、宇宙を維持している全ての要素として図2の標準モデルが物理学界の通説となっています。


・4つの力以外の力は存在しないのか?
現在物理学界では宇宙のあらゆる力はこの4つに集約されると考えられており、これらの3つ(電磁気力/強い核力/弱い核力)をまとめる大統一理論(*11)、さらには重力もまとめる超大統一理論を築こうと日々研究が重ねられています。しかし本当に宇宙に存在する力はこの4つだけなのでしょうか。

量子力学における不思議な性質を証明した実験として「二重スリット実験」というものがあります(*12, *13, *14)。これについてはさまざまな実験が為されていてこの瞑想記事でも何度も取り上げてきました(*15, *16, *17)

概要を図8に示しますが、起こる現象としては「1個の光子が二重スリットを通過する時、普通に行うと“波”として干渉縞が出現する(図8B)が、光子が通過した方を観測しようとすると“粒子”として振る舞い干渉縞が消滅する(図8C)」というものです。この現象のトリガーは他の一切の干渉を排除した結果「観測すること」であり、物理学界でも「観測問題」として認知されています(*18)
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この現象は「厳密な1個の光子による実験」なので、当然ながら「他の光子による相互作用」は排除されています。そして同一環境なので「重力の影響の変化」も考えられません。また、「クォークや原子核に作用する強い核力」もここでは考える必要がありません。もちろん「原子核崩壊を起こす弱い核力」の影響も考えられません

この実験系に影響しているものは実験者が「観測するかどうか」だけなのです。これまで挙げた“4つの力”では説明することができません。しかし、現実に変化が起こっている以上、「何らかの力が光子に相互作用を引き起こしている」と言えます。また、“意識が光子に変化を起こす実験(*16)”でも他の影響を全て排除した上で、何千キロも離れた場所から何らかの力が実験系に影響を及ぼしていることが示されています。
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この意識」や「観測という行為」がもたらす影響は二重スリット実験が世に知られるまであまり認知されてきませんでした。このため、最初に知られたときは物理学界に古典物理の常識を覆す大きな波紋をもたらしました。「光子や電子といった量子は光であると同時に波でもある」という見解には至っているものの、「何がどう影響して粒子と波を切り替えているのか」という点は未だ明確な解は得られていません(*17, *19)

ヒッグス粒子も発見されたのは2011年頃とごく最近のことであり、まだまだ人類には未知の力や素粒子があっても不思議ではありません。形而上学的に認知されていても科学的に証明されていないものはたくさん存在しています。もしかしたら我々の「意識」には科学的に証明されていない未知の力があるかもしれません。日々の瞑想で「意識」の力を最大限に発揮できるように磨いていきましょう。


引用:
https://note.com/newlifemagazine/n/n724aead9b9a4
*2. 標準模型−Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/標準模型
*3. 電磁相互作用−Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/電磁相互作用
*4. 強い相互作用−Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/強い相互作用
*5. 弱い相互作用−Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/弱い相互作用
*6. 重力−Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/重力
*7. Hubblesite-HP. https://hubblesite.org/contents/media/images/2011/11/2837-Image.html
*8. ヒッグス粒子−Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/ヒッグス粒子
*9. ヒッグス機構−Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/ヒッグス機構
*10. パリティ−Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/パリティ_(物理学)
*11. 大統一理論−Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/大統一理論
*12. Jönsson C (1974). Electron diffraction at multiple slits. American Journal of Physics, 4:4-11.
*13. 二重スリット実験−Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/二重スリット実験
*14. 単一フォトンによるヤングの干渉実験(浜松ホトニクス/1982年)(Youtube)
https://www.youtube.com/watch?v=ImknFucHS_c
https://note.com/newlifemagazine/n/nf11ac38b370a
https://note.com/newlifemagazine/n/n19342d9a4f56
https://note.com/newlifemagazine/n/nf66f91110a61
*18. 観測問題−Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/観測問題
https://note.com/newlifemagazine/n/n96af4cbc0890

画像引用: 
https://ja.wikipedia.org/wiki/ファイル:Blausen_0615_Lithium_Atom.png
https://en.wikipedia.org/wiki/Quark
https://wallpaper.dog/
https://www.pngfind.com

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